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東光寺本堂
32 東光寺本堂(府暫定)
福知山市夜久野町額田
一重、入母屋造、背面仏間付属、桟瓦葺 桁行15.1m 梁行10.9m
東光寺は高野山真言宗に属し、天正十九年(1591)開山の寺院であるが、享保十三年(1728)・文化八年(1811)に火災にかかり、寺院についての記録や建物を失っている。
本堂は文化年間の火災後の文政二年(1819)の建立と伝える。また、室内の欄間には龍や鳳凰の透谷が彫られ、中井権次正貞(1780~1855)の刻銘が確認できることから、この時期の建立の可能性は高い。
平面は六間取で背面中央に仏間が突出して付属する。下間前室を式台付の玄関としてその脇から正側面の二方に広縁を廻す。広縁外部の内法長押と丸桁の間には、絵様を施した虹梁を架け、隅柱には彫刻を施した木鼻を付け、前室境及び仏間と仏間前室境には彫刻欄間で華やかに飾り付ける。玄関の機能を下間前室に取り込み、正側面二面を意識した外部の装飾など、小規模な真言宗寺院本堂の一形態を示している。