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下野条公会堂 木造薬師如来坐像
11 下野条公会堂 木造薬師如来坐像(市指定)
福知山市字下野条
一軀 像高84.6cm 一木造 平安時代
(附)像内納入品
木造如来坐像 一軀 像高27.0cm
木札 一枚 縦33.2cm 横12.2cm
典型的な平安後期の仏像で、比較的均衡のよくととのった定朝様(じょうちょうよう)の美しい像である。定朝様は一般に規定正しい寄木造(よせきづくり)が普通であるが、この像は頭躰を一木で造り、両肩と横材で作った膝部を寄せ木する古い手法をとっている。このような表面上は典型的な平安時代後期の様式をとりながら、構造上、一木造の古い手法を用いているのは、この地方における独特の造像法であったものと思われる。
膝部の横材の底に焼痕が認められ、各所に修理の跡が残っている。まず表面のドロ仕上、台座、光背、裾前、左手首の一部、左手薬壺、右手親指も新しい。
像内に納められている仏像は如来像で両肩膝部がなくなっているので何仏であるのかわからない。牙を上方にむき出し、上下瞼を太い隆起線で作るなど怪異な顔をしており、制作年代はさらに下るものと思われる。このような怪異な仏像を薬師仏の像内に納めたのは、この地方の人々が薬師仏に対して呪術的な信仰を抱いていたことを物語るものである。また像内に納められている木札に次のような嘉永二年(1849)に書かれた墨書がある。
(表)源□光蒙勅命当国大江山悪鬼退治之時為祈願
当時薬師尊躰造
長徳二申春之者也
大仏師京都 松田伝内奉作
(裏)嘉永二酉星迄八百六拾四念相成
此度再建仕処願主宥智房仏師周三良作
八月拾四日