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旧医王寺 木造金剛力士像
19 坂室 旧医王寺 木造金剛力士像(市指定)
福知山市字坂室 二軀 像高190cm 鎌倉時代末~南北朝時代
通有の形態をとる玉眼嵌入の金剛力士像である。阿形(あぎょう)は大きく口を開き、左手を横上にあげ腕を曲げ金剛杵(こんごうしょ)を握り、右手は斜め下におろし、五指を開いて内に向け、足は左足に重心を置き、やや腰を横に曲げ右足を広げる。吽形(うんぎょう)は口を結び左手を少し曲げて腰部にあてるように握り、右手は五指を開いて掌を前方に差し出す形をとっている。
現在、この金剛力士像を安置している旧医王寺二王堂は、薬師堂とともに三俣の長川寺の境外造営物となっているが、その管理は地元坂室の住民で組織する坂室山医王寺護持会が行っている。
医王寺は、口伝によると久安二年(1146)頃には七堂伽藍を有する大寺院であったが、戦国時代の天正七年(1579)の兵火により大部分の堂宇は焼失し、わずかに薬師堂と仁王堂のみが残ったものといわれる。
この金剛力士像は比較的小柄であるが、面長な顔で彫りはしっかりしている。鳩尾の肉の盛り上がりも大きく、よく躍動感が表現されている。また、鎬の跡もはっきりとわかる。このような特徴や様式から鎌倉時代末期から南北朝時代の正当派仏師の作と思われる。