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長尾薬師堂 木造薬師如来坐像 附木造十二神将立像四躯
10 長尾薬師堂 木造薬師如来坐像(市指定)
福知山市字長尾
一軀 像高146.0cm 寄木造 平安時代
(附)木造十二神将立像 四軀 平安時代
半丈六の薬師如来坐像で、像背面は大方後補であるが、正面観にはよく当初の像容をうかがう事ができる。
構造は、寄木造で、頭・躰部の各後方材、両手先は後補であり、また左袖口、右袖口肘先、右外側地付部などは補修され、左袖口上面材を亡失するなど損傷が目立つ。
全体に穏和な造形を基調とし、額の幅広い頭部に小振りな目鼻立をあらわす。上半身は両腕を躰部に接したつつましい姿で、これに対し両足部は張りを充分にとっている。衣文は浅く簡素で、十一世紀頃の地方における和様の展開を示した作例と考えられる。
また、表情や、肘を体に密着させやや窮屈そうに見える点などにこの地方で制作された特徴があらわれている。
(附)木造十二神将立像 四軀
- 像高118.4cm
- 像高127.1cm
- 像高141.0cm
- 像高144.5cm
もとは十二軀そろっていたものと思われるが、現在では四軀しか残っていない。いずれも一木造で風化が甚だしく、目鼻も見分けられない程であるが、ゆったりとした下半身に重心があり、平安時代中期の作と思われる。現状から当初の姿を推測してみると、相当優秀な仏像であったと思われる。