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大智寺 仏像群
25 大智寺 仏像群(市指定)
如来坐像 (イ) | 地蔵菩薩 (ロ) | 地蔵菩薩 (ハ) | 菩薩立像 (ニ) |
菩薩立像 (ホ) | 菩薩立像 (ヘ) | 菩薩立像 (ト) | 菩薩立像 (チ) |
天部立像 (リ) | 天部立像 (ヌ) | 兜跋毘沙門天立像(ル) | 仏形立像 (ヲ) |
福知山市夜久野町今西中 十二軀 木造 平安時代
内訳は如来坐像一躯、地蔵菩薩立像二躯、菩薩立像五躯、天部立像二躯、兜跋毘沙門天立像一躯、仏形立像一躯である。
・如来坐像(イ)ヒノキの一木造。左体側下に脚部材を組み込む方形の柄を造り出す。頭部は内刳りを施さず、体部背面から施す。左耳部を別材とし、左肩に大きな節を刳り抜いた穴が残る。珍しく古様な構造を示し、面長な顔立ちから十一世紀の作と考えられる。
・地蔵菩薩立像(ロ)ヒノキ一木造で内刳りなしとし、像底から丸柄を出している。右手は共木で彫り出し、第一・二指を捻じ、他指を伸ばし、錫杖を執らないことが分かる。左手は屈臂して胸前に手先をやっていたものと思われる。頭部が小さめの像で、比較的像容をと止め、十一世紀の作と考えられる。
・地蔵菩薩立像(ハ)ヒノキ一木造、内刳りなし。右手の状態は不明だが、ほぼ(ロ)の地蔵菩薩立像に準じる作例で、像底に朽損を生じているが、大きさもぼぼ同様であったと思われる。
・菩薩立像(ニからチ)ヒノキの一木造で内刳りがない構造が基本である。体勢は(ニ)がほぼ直立する他は、腰を左に捻る。以下に各像の特徴を記す。
(ニ) 髻を円錐形に表し、宝冠を着ける。体部数か所に節がある。
(ホ) 左耳付近に当初の彫りが残る。髻は螺髻にあらわすか。節を含んだ木を用いる。
(ヘ) 朽損が激しい。大きな髻をあらわす。
(ト) 朽損が激しい。小ぶりな像で、耳より前に宝冠をあらわす。
(チ) 髻中央から左右に毛筋をあらわし、天冠台上に三角状の宝冠を表す。
像底に円形の柄。裳折り返し部などに衣紋線の一部のこる。左上膊までのこる。
・天部立像(リ、ヌ)
(リ) 左上膊まで含めて一木から彫り出し、ずんぐりとした量感がある。左耳の彫りが残る。
(ヌ) 髻前に三角状の宝冠をあらわす。腰高のスマートな体躯をあらわす。
・兜跋毘沙門天立像(ル)
両脚部をすっきりとあらわし、左足元に地天女に支えられる風の塊を残す。
細身で、面取りのある筒型宝冠状の造形が感じられる。