本文
紙本墨摺首楞嚴神咒・大悲咒・消災咒三陀羅尼経
5 天寧寺 紙本墨摺首楞嚴神咒・大悲咒・消災咒三陀羅尼経(市指定)
福知山市字大呂 天寧寺
一冊 折本装 縦19.7cm 横8.4cm
全長459.2cm 29折 十7紙継ぎ 応永三十四年(1427)
陀羅尼(だらに)とは「保持すること」を言い、教法を心中に覚えていて忘れない能力のことを意味する。
内容は、三つの陀羅尼経を木版印刷した本で、これに応永三年(1396)に愚中周及が奥書をしている。その奥書によると、三陀羅尼経を読みやすくするために、片仮名でその発音を傍らに書いたものを木版印刷に付することが望まれていたが、行源禅人が工人に命じて木版を作らせ、京都の少林寺に寄付したというものである。
また、この本は応永三十四年(1427)に本立が重刊したときに印刷に付されたもので、当時の経巻印刷の例として重要であるのみならず、天寧寺の開山が初版に関与しているのが興味深く思われる。
(奥書)
右三陀羅尼所謂無文字之文字
也今更加片假字不顧唇舌喉内
成字音響雖有頗暁莫由措手則
直書其傍者何唯冀禅之四衆學
唐音而誦者章句明而易念而巳
然繕寫之亦難故行源禅人命工
鏤梓☆將其板寄附京之少林院
亦復深期報資恩有其志可嘉故
略述其由」
応永三年正月十八日
金山 老比丘 周及謹書
応永歳次丁未八月二五日
願主奉佛弟子本立施財重刊
此□在京城五条室町之經所