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寺ノ段2号墳出土品
10 寺ノ段2号墳出土品(市指定)
方格規矩鏡片
内行花文鏡片
福知山市教育委員会蔵
- 内行花文鏡片 一面(11.5cm×3.5cm 復元系17cm)
- 方格規矩鏡片 一面(11.0cm×6.2cm 復元径11cm)
- ガラス製管玉 一個(直径4.1mm 長7.6mm)
- 土師器 九個
- 土師器片 一括
寺ノ段2号墳は、福知山駅の南に広がる丘陵上に立地していた古墳で、昭和六十一年(1986)に駅南地区区画整理事業に伴い発掘調査が実施された。
古墳は、標高58mほどの丘陵稜線上にあり、自然地形にわずかに手を加え、一辺15mの方形の墳丘を削り出したものであった。埋葬施設は、木棺直葬の土壙墓二基、土器棺二基を検出している。中心となる埋葬施設は、長6.3m、幅1.5m、深1.5mの大きな墓壙を掘り込み、H形の組み合わせ木棺を設置する。棺内からは、方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)片一面・ガラス製管玉一個が検出された。墓壙上面には、土師器高杯(はじきたかつき)に朱をもって供献されていた。さらに、もう一方の土壙墓からは、内行花文(ないこうかもん)鏡片が出土した。
出土した土師器から導き出される古墳の築造時期は、古墳時代初頭である。鏡片は、いわゆる後漢鏡の破片で紐を通す穴が穿孔されている。
古墳の形態は、弥生時代後期にみられる方形台状墓の系譜を引く伝統的なものであるが、前代にはみられなかった大形の墓壙や鏡片の副葬など古墳時代の幕開けを告げる要素がみられる。
当古墳は、由良川中流域を代表する古墳であり、古墳時代初頭の標識資料となるものである。また、鏡片副葬は弥生時代終末から古墳時代初頭にかけて北部九州や瀬戸内海地域を中心にみられ、地域間交流を示すもので貴重な資料である