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金光寺 石造宝篋印塔
38 金光寺 石造宝篋印塔(市指定)
福知山市字喜多 一基 総高380.0cm
総高3.8mの実に大きな塔で、金光寺裏山の崖の上に立っている。
無銘であるが、形式手法からみて鎌倉時代後期から南北朝時代の制作になるものと思われる。二段に石材を積んだ上に基壇を置く。基壇は、三石を合わせ蓮弁を彫るが風化により明らかではない。基礎には三面に格狭間を入れ、格狭間のうち正面は繰型(くりがた)の複雑なこうもりが翼を広げたような形とし、他は普通の形式の繰型としている。この複雑な格狭間形式は福知山城の石垣に転用された石の中にもみられることから、この地方にかなり流行していたものと思われる。
笠石の隅飾りは、やや外方に広がり、格狭間の意匠と共に時代の特徴を示している。なお、笠石の下方四隅には風鐸をつったと思われる工作が施されているが、あまり例のないものである。
塔は、平坦地を造成して設置されている。平坦地の周囲には石垣を積み、相当な規模の作業が施され、この塔の造営にかかわってかなりの労力が注がれたことがうかがわれる。
塔の保存は笠石隅飾りの一部がこわれているがほぼ完全で、この地方の文化を代表する貴重な遺産といえる。