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稲粒神社本殿
7 稲粒神社本殿 附棟札四枚(府登録・府環境)
稲粒神社 遠景
本殿
福知山市字川北 一棟 一間社流造、正面軒唐破風付、銅版葺 寛政十一年(1799) (附)棟札四枚
この神社は、旧川北村の鎮守社で村の東南はずれの水田の中にあり、遠くからも鎮守の森がよく目立つ。
本殿は、一間社流造(いっけんしゃながれづくり)で軒唐破風(のきからはふ)を付けた銅版葺の小振りのもので、棟札(むなふだ)より寛政十一年(1799)の建立とわかる。大工は播磨国三木と地元の大工の共同作品で、彫物は脇障子の裏側の銘から、江戸時代後期に丹波・丹後で活躍した柏原(かいばら)の中井氏(中井正忠)の作品である。
組物は、二手先尾垂木(ふたてさきおだるき)付の斗栱(ときょう)を用い、尾垂木端には渦紋(かもん)を施し、四隅のものは龍の姿彫りにする。妻飾りは、二重虹梁大瓶束(にじゅうこうりょうたいへいづか)で、二重目を出組(でぐみ)にしてさらに一手持ち出す。向拝(こうはい)は海老虹梁一組と手挾(たばさみ)二組で繋ぎ、連三斗(つれみつと)も三段積みにし、桁(けた)と頭貫(かしらぬき)との間に龍の彫物をはめ込むなど、ふんだんに細工を凝らした優れた作品である。また、脇障子は斜後方に開いて付けているところは珍しい様式である。
神社の周辺は、「鎮守の森」としての景観を保ち、境内もよく整えられている。