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天寧寺 絹本著色十六羅漢像
1 天寧寺 絹本著色十六羅漢像(国指定)
福知山市字大呂 十六幅 縦119.0cm 横56.0cm
羅漢は、仏教の修行者であり、中国の形式を手本として描かれる場合が多く、本図も元代の羅漢画を手本として室町時代初期に描かれたものと思われ、興味ある資料となっている。
中国羅漢画として有名な李竜眠様の穏やかな画風で一幅一鋪の絵絹に描かれている。怪奇な顔には細い線を用いてやわらげるとともに、衣には太い線を勢いよく引き躍動感をもたせるなど、肥痩線(ひそうせん)をうまく使って自由奔放に羅漢の姿を表現し、まれにみる写実的で派手な感じの画風を示している。肉身は橙色、衣には朱色系統を多く用い、切金・金泥を併用し、諸所に中国元時代の画趣もうかがわれて興味ぶかい。
福知山市内でも最も古い羅漢像で、十六幅すべてが残っていることでも貴重な資料となっている。