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企業と人権に関するQ&A

ページID:0068633 更新日:2024年10月1日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

Q なぜ、企業が人権に取り組む必要があるのですか?

   企業と人権に関する人権問題として、公正採用や、セクハラやパワハラなどの様々なハラスメント、男女の雇用格差、LGBTQなど多様な性への不理解、外国人労働者の雇用における問題などさまざまな人権に関する問題が発生しています。

   こうした問題を踏まえつつ、人権尊重のまちづくりのために、次のような観点をもって、市・市民・事業者がともに力を合わせて取り組まなければなりません。

基本的人権を尊重した企業活動

   企業は、利潤の追求を目的として行動する経済主体ですが、同時に、市民個人と同様、社会の一員であるという立場から、基本的人権を尊重して行動することが求められます。このような意味から、企業は、様々な人権問題に関心を持ち、企業内外において基本的人権の侵害が生じないよう、人権意識を高めながら必要な取組を進めることが求められます。

CSRの観点から

   現在は、企業のCSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)の取組内容が、ますます企業の社会的評価を左右するようになっています。CSRは人権尊重や差別撤廃への取組も包含したものであり、人権の取組をおろそかにすると社会的な批判を招き、顧客・従業員・株主等の信頼を失ってしまうおそれがあります。

人権尊重を企業活動の基本に

   人権とは、すべての人が生まれながらに持っている人間らしく幸せに生きる権利です。一方、企業活動は、従業員や顧客・消費者だけでなく、取引先や株主、地域住民など、多くの様々な人と関わり合うことで成り立っています。企業活動はこれらの人々に大きな影響を与えます。

   企業活動を行う際には、これらすべての人の人権に配慮することが求められます。さらに、人権尊重の企業活動が、社会が企業を評価するうえで、ますます大きく重要な要素となっています。

   いまや、人権への配慮は、環境への配慮とともに、企業にとって欠かすことのできない社会的な責務となっているのです。

 

Q 具体的な取組の内容はどのようなものがありますか?

   国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に示されている企業の人権への取組は、次のとおり3点となります。このうち「人権デュー・ディリジェンス」では自社のみの人権リスク対応にとどまらず、サプライチェーンも含めた人権侵害等の対応も含めることが示されており、より広範な取組が必要となっています。

人権方針の策定

    企業は、人権を尊重する責任を果たすというコミットメントを企業方針として発信すること。

人権デュー・ディリジェンスの実施

   企業は、人権への影響を特定し、予防し、軽減し、どのように対処するかについて説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対応、対応の追跡調査、対処方法に関する情報発信を実施すること。

   (例)人権研修の実施、各種社内制度(人事・評価・働き方など)の変更・改善、サプライチェーンの管理、モニタリング(従業員の勤務状況、労働時間など)の実施、外部への情報公開

救済メカニズムの構築

   人権への悪影響を引き起こしたり、助長を確認したりした場合、企業は正当な手続きを通じた救済を提供する、またはそれに協力すること。

  (例)社内向けホットライン(苦情・相談窓口)の設置、お客様相談窓口の設置など

 

   また、人権の取組には、人権侵害や差別をしないという人権リスクへの対応という側面にとどまらず、より積極的に人権侵害や差別をなくしていく取組や豊かな人権尊重の社会を形成していくための取組という2つの側面があります。今後、ますます人権尊重社会構築に向けた企業の役割への期待が高まるものと思われます。

 (参考)外務省「『ビジネスと人権』に関する取組事例集」<外部リンク>

 

Q 我が社は従業員数が少ないので取り組む必要はないのでは?

   たとえば、労働施策総合推進法 (パワハラ防止法)の改正により、2022(令和4)年4月から職場におけるパワー・ハラスメント対策が中小企業においても義務化になっています。また、障害者差別解消法の改正により、2024(令和6)年4月から企業の規模の大小にかかわらず、すべての企業・事業者は合理的配慮の提供を行うことが義務化されました。さらに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の原則14においては、「人権を尊重する企業の責任は、その規模、業種、事業状況、所有形態及び組織構造に関わらず、すべての企業に適用される。」ことが明記されています。

   このように、人権尊重の取組は、企業規模の大小にかかわらず取り組むべき重要な課題となっています。

 

Q 企業が人権尊重の活動を行うことは、どのような意義があるのでしょう?

   今後、企業における人権尊重の活動は、ますますその必要性が高まるものと思われます。その意義として、次のような点があげられます。

組織活力の向上と社会的役割の発揮

   企業が人権尊重の取組を進めることは、従業員にとっては働きやすい職場づくりに、また顧客・消費者などから支持・評価されることにつながり、組織の充実や活力の向上が期待されます。さらに、地域社会や市民に対する社会的責任を果たすことにもつながります。

企業価値・イメージの向上

   人権尊重の企業活動を行うことは、組織のイメージを高めるうえで不可欠です。企業イメージは企業価値の向上の大きな要素となります。

持続可能で安全安心な人権尊重社会の実現

   人権尊重の企業活動を行うことは、国際的な基準を踏まえて、環境分野や労働問題などの様々な課題にも広く取り組むことを意味します。持続可能な社会の実現に向けて、企業が大きな役割を発揮する力となることが期待されます。

 

(参考)「ビジネスと人権」に関するキーワード

■ 世界人権宣言

 1948(昭和23)年に国連総会において採択。人権及び自由を尊重し確保するために、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」を宣言した国際的に初めて人権の保障をうたった画期的な宣言です。

■ 国際人権規約(社会権・自由権規約)

 1966(昭和41)年に国連総会において採択。世界人権宣言の内容を基礎として条約化した人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なもので、ビジネスと人権に関する諸権利がほぼ網羅されています。

■ ILO中核的労働基準

 国連の専門機関であるILO(国際労働機関)の1998(平成10)年総会で採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」において定められた基準です。「結社の自由・団体交渉権の承認」「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」「安全で健康的な労働環境」の5分野にわたる労働に関する最低限の基準となります。

■ 国連グローバル・コンパクト10原則

 国連と民間(企業・団体)による国連グローバル・コンパクトが定めた4つの分野(人権、労働、環境、腐敗防止)における10の原則です。人権に関しては、「企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、(原則1)」「自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。(原則2)」とする2つの原則が定められています。

■ ISO26000

 2010(平成22)年発行のISO国際規格。「社会的責任に関する手引」として、官民両セクター、非営利などあらゆる組織が社会的責任を果たす際のガイダンスとされています。

■ ビジネスと人権に関する指導原則

 2011(平成23)年に国連の人権理事会で全会一致で支持された文書。「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「救済へのアクセス」の3つの柱から構成されています。企業に対しては、従業員、消費者、地域社会の人々などの他者の人権侵害を回避し、発生する人権への悪影響に対処することを求めています。

■ 人権デュー・ディリジェンス

 企業が、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人権侵害等を特定し、防止・軽減し、取組の実効性を評価し、どのように対処したかについて説明・情報開示していくために実施する一連の行為をいいます。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」で、企業における人権尊重のステップのうちの柱のひとつとされています。

 


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