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月に一度の賑わいを日常に 大学生建築家が描く新しい窓
いがいと!福知山な人々~京都工芸繊維大学4年生 嶋貫真子さん~
毎月第4日曜、福知山イチおしゃれなマーケット「福知山ワンダーマーケット」が開催されている新町商店街の一角で、とある工事が進んでいます。
場所は、かつて紳士服を販売していた「愛友堂」。
長らく空き家になっていた場所をリノベーションし、
新しい空間を生み出そうという取り組みです。
企てたのは、福知山ワンダーマーケットの運営メンバーたち。
月1回の福知山ワンダーマーケットに参加するお店が、
マーケットのない日でも、1日単位でお店をできるよう、
厨房付きのレンタルスペースを立ち上げるのだとか。
お客さんもマーケットで好きになったお店が、
福知山で本格的なお店のように出店することを楽しむことができ、
商店街に賑わいが生まれるのではないかと考えたそうです。
「アーキテンポ」と名付けられるその空間は、
4月28日、レンタルスペースとして生まれ変わる予定です。
現在、メンバーの手作りでオープンに向けて作業が進められています。
建築家の卵の実践の場に
「アーキテンポ」
御察しの通り、空き店舗(アキテンポ)をもじった名前ですが、
archi(アーキ)は主(あるじ)を意味し、
日毎に変わる「店主」の特徴が楽しめるお店であることを示しています。
また、architect(アーキテクト)は建築家を意味し、
今回の建築学生へ実践の場を提供していることの意味も込めているそうです。
「アーキテンポ」のアーキテクト(建築家)として招かれたのは、
嶋貫真子さん、21歳。
京丹後市久美浜町出身。
京都工芸繊維大学の地域創生Tech Programで学ぶ大学4年生です。
インターンシップの一環で、アーキテンポの設計に携わることになりました。
「建築学生はいつも仮想のプロジェクトで設計をしています。
なので大学生で建築家として実際の建築に携われることはなかなかありません。
とても貴重な体験をさせていただいています」
と嶋貫さんは微笑みます。
設計のポイントは「窓」
福知山ワンダーマーケットのメンバーたちの思いを聞き、設計に落とし込みました。
描いたコンセプトを嶋貫さんはこう話します。
「通り抜ける「道」になってしまったアーケード商店街が、
再び立ち止まって会話を生む「場」になるように。
日毎、時間毎に変化するお店の中の空間を、
さまざまな角度、奥行きから新たな表情を商店街に映し出すとともに、
ベンチ空間を併設することで内と外がつながるようにしました。
この窓のデザインが新町商店街の新たなアイコンとなればと思っています」
もちろん、最初の理想どおりには進まないことも多い。
「予算との兼ね合いもあって、2、3回設計をやり直しています。
フィードバックをもらいながら、その都度相談しながら進めていますね」
一番不安に思っていたのは、実際の出来上がりと自分で描いたものとのギャップ。
「実際の体験がないのでどれくらい差が出てしまうのかわかりませんでした」
そこで、インターンシップ先の代表に相談すると、知り合いの建築家を紹介してくれた。
「安心してやればいいと言われました。
一緒に進めてくれる皆さんに教えてもらいながら取り組んでいます」
生活の基盤になる居住空間をつくりたい
建築家を志すようになったのは、
「家での暮らし方が、人との関係性や人格に影響する」と気付いたことでした。
「実家は日本家屋で、わたしは居間で過ごすことが多かったんです。
壁ではなく襖や障子で曖昧に区切られた住居空間。
家族と同じ空間にいることが普通でした。
でも人によっては、帰ったら直接自分の部屋に籠もるという人もいて、
わたしの暮らしとは全然違っていた。
居住空間は、住む人の暮らしぶりや家族の関係性、
その人自身の性格形成にもつながる生活の基盤となる大切な要素だと思うんです」
「将来は建築事務所やアトリエで建築に携わりたいです。
決まった型を売るのではなく、一からヒアリングして、
一緒に家を作っていく仕事ができたらなと思っています」
オープンまでまもなく。
「レンタル店舗なので、毎日開いているというわけには行かないと思うけど、
たくさんの人に使って欲しい。
お客さんがたくさん入って、ここに賑わいが生まれたら万々歳です」
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嶋貫さんと福知山ワンダーマーケットが取り組む、
「アーキテンポ」についてはこちらから。
ただいまクラウドファンディング実施中!
https://camp-fire.jp/projects/view/133640<外部リンク>
福知山の魅力ってなんだと思う?
週2、3日、福知山に来て、アーキテンポの作業をしています。
駅と新町商店街の往復だけなので、まだ知らないことばかりです。
子どものころは家族と買い物によく来ていて、福知山は「遊ぶところ」っていう印象でした。
駅の北側には来たことがなかったです。こんなところがあったんだって。
福知山の人はいつもやさしくしてくれて、
地元にいるような懐かしさがあるまちです。