○福知山市議会議員政治倫理条例
令和7年3月27日
条例第52号
(目的)
第1条 この条例は、福知山市議会基本条例(平成24年福知山市条例第31号)第25条の理念にのっとり、議員が議員活動を行う際に遵守すべき行動基準(以下「政治倫理基準」という。)を定めることにより、議員の政治倫理の確立及び向上を図り、もって市民に信頼される公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民全体の代表者として市政に携わり、公共の利益を追求するという自覚を持って、その使命の達成に努めなければならない。
2 議員は、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけがあったときは、これに応じてはならない。
3 議員は、政治倫理基準に違反する疑いがあるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって当該疑惑を解明し、その責任を明らかにしなければならない。
(働きかけの禁止)
第3条 何人も議員に対し、政治倫理基準に違反する働きかけを行ってはならない。
(宣誓)
第4条 議員は、議員の任期開始の日から30日以内に、この条例を遵守する旨の宣誓を行うものとする。
2 前項の規定による宣誓は、宣誓書を議長に提出することにより行うものとする。
(政治倫理基準の遵守)
第5条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民の代表者及び公職にある者として、その品位又は名誉を損なう一切の行為を慎み、その職務に関し、不正の疑惑を持たれる行為をしないこと。
(2) 公職にある者としての発言又はチラシ、ウェブサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービスその他の媒体を利用した情報発信において、他人の名誉を毀損し、又は人格を損なう一切の行為をしないこと。
(3) 政治活動に関し、個人、企業、団体等に対して、政治的又は道義的な批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。議員の後援団体についても、同様とする。
(4) その地位を利用して、公正を疑われるような金品、飲食等の授受等をしないこと。
(5) 市又は次に掲げる者若しくは市の公の施設の管理を行う指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)(以下「指定法人等」という。)が行う許認可、工事等の請負契約(下請負に係る契約を含む。)、業務委託契約及び物品購入契約並びに指定管理者の指定に関して、特定の個人、企業、団体等のために有利又は不利となるような斡旋等の働きかけをしないこと。
ア 市が構成団体となっている一部事務組合又は広域連合その他の団体
イ 市が資本金その他これに準ずるものを出資し、又は拠出している法人
ウ 市が財政的援助を与える法人又は団体
(6) 議会の会議において、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹(姻族を含む。)の一身上に関すること又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に有利となるような発言をしないこと。
(7) 市の職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第3項に規定する特別職にある者(議員を除く。)を含む。以下同じ。)又は指定法人等の職員(役員を含む。以下同じ。)の採用、就任、昇任、降任、異動、解雇、退任等の人事に関し、不当な関与をしないこと。
(8) 市の職員又は指定法人等の職員に対し、嫌がらせ、恫喝、強要その他の行為をし、その公正な職務執行を妨げ、又はその職権を不正に行使するよう働きかけをしないこと。
(9) 議員個人に市又は指定法人等への調査権限がないことを認識し、議員個人で市若しくは指定法人等に申入れ若しくは要望をし、かつ、当該申入れ若しくは要望に応えることを強要しないこと。
(10) 市の職員若しくは指定法人等の職員又は議員にセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメントその他のハラスメント及び誹謗中傷、風評の流布等により人権を侵害し、又は不快にさせる行為をしないこと。
(11) その地位を利用した嫌がらせ若しくは強制又は不当に圧力をかける行為をしないこと。
(12) 差別的な取扱い又は言動、虐待、性的な言動、誹謗中傷する言動その他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(13) 福知山市暴力団排除条例(平成24年福知山市条例第17号)第2条第1号に規定する暴力団又は同条第3号に規定する暴力団員等(以下「暴力団等」という。)と飲食、旅行その他の交流をともにしないこと。事実であるか否か、現在であるか過去であるか又は自己であるか知人であるかにかかわらず、暴力団等と関係があること又は関係があったことを流布する者も、同様とする。
(14) 議員として職務上知り得た情報を不当な目的のために使用し、又は第三者に漏えい又は伝達しないこと。
(15) 誠実かつ公正な職務遂行を妨げるいかなる要求にも屈しないこと。
(16) 第三者に依頼し、前各号に掲げる行為をさせないこと。
(17) 前各号に掲げるもののほか、議員一般若しくは議会全体に対する市民の信頼を失墜させる行為又は誠実若しくは公正な職務遂行を損なうおそれがある行為を行わないこと。
(請負等に関する制限)
第6条 議員又は議員が役員をし、若しくは実質的に経営に携わる法人その他の団体は、地方自治法第92条の2の規定を遵守し、市民に疑惑の念を生じさせることのないよう努めなければならない。
(政治倫理基準の違反に関する申立て等)
第7条 公職選挙法(昭和25年法律第100号)第9条第2項の規定により福知山市の議員及び長の選挙権を有する者(福知山市の選挙人名簿に登録されている者に限る。以下「有権者」という。)、市の職員若しくは指定法人等の職員(これらの職員に対し、政治倫理基準に違反する疑いがあると認める行為のあった日から6月以内に退職、退任等をした者を含む。)又は議員は、政治倫理基準に違反する疑いがあると認める議員があるときは、議長に対し、当該疑いがあることを明らかにする資料(以下「疎明資料」という。)及び議長が必要と認める書類を添え、書面により申立てをすることができる。
2 前項の規定による申立て(以下「申立て」という。)は、当該申立てに係る行為のあった日から6月以内に行わなければならない。
3 議長は、申立てがあったときは、速やかにその内容を審査し、適当と認めるときは、当該申立てに係る議員に通知しなければならない。
5 議長は、前項の規定による対応書の提出があったときは、速やかにその内容を当該対応書に係る申立てをした者(以下「申立者」という。)に通知するものとする。
6 申立者は、前項の規定による通知があった後においても、当該通知に係る議員に政治倫理基準に違反する疑いがあると認めるときは、議長に申し出て、協議等の場(福知山市議会会議規則(昭和32年福知山市議会規則第1号)第129条第2項に規定する協議等の場をいう。以下同じ。)に出席し、説明することができる。
8 第6項の規定により申立者が出席する協議等の場の会議は、非公開とする。
(1) 有権者が審査請求をする場合 有権者30人以上の連署
(2) 議員が審査請求をする場合 議員3人以上の連署
2 審査請求は、当該審査請求に係る行為のあった日から1年以内に行わなければならない。
3 第1項第1号の規定による連署は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第92条第4項に規定する期間を除き、審査請求が行われる日前30日以内に行われたものでなければならない。
4 署名が有効となる有権者は、当該署名に係る審査請求が行なわれた日の直近に行われた公職選挙法第22条第1項の規定による福知山市の選挙人名簿の登録において当該選挙人名簿に登録されている者とする。
5 第1項第2号の規定による連署は、2以上の異なる会派(会派に属さない議員は、当該議員の総員をもって1会派とみなす。)に属する者により行われていなければならない。
(審査請求の受理等)
第9条 議長は、審査請求があったときは当該審査請求の内容について審査するものとし、審査請求に係る請求書に形式上の不備があると認めるときは相当の期間を定めて、審査請求をした代表者(以下「請求代表者」という。)に対し、その補正を求めることができる。
2 議長は、審査請求が次の各号のいずれかに該当するときは、当該審査請求を却下するものとする。
(1) 前条に規定する要件を満たしていないとき。
(2) 請求代表者が前項の規定による補正の求めに従わないとき。
(3) 第5条各号に掲げる政治倫理基準に明らかに違反しないと議長が認めるとき。
3 議長は、前項の規定により審査請求を却下したときは、その旨及びその理由を請求代表者に通知するものとする。
(福知山市議会議員政治倫理審査会)
第10条 議長は、審査請求を受けたときは、前条第2項の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、当該審査請求に係る審査(以下「審査」という。)を行わせるため、福知山市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、審査を付託するものとする。
2 議長は、前項の規定により審査会を設置したときは、速やかに請求代表者及び審査の対象となる議員(以下「審査対象議員」という。)に対し、その旨を通知するものとする。
3 議長は、福知山市議会委員会条例(昭和32年福知山市条例第18号。以下「委員会条例」という。)第3条の3第1項の規定により設置する議会運営委員会の選出方法に準じて、審査会の委員(以下「委員」という。)を議員のうちから指名するものとする。
4 委員の定数は、9人以内とする。ただし、審査請求を行った議員及び審査対象議員は、委員となることができない。
6 審査会の委員長(以下「委員長」という。)は、必要と認めるときは、有識者を審査会に出席させ、意見を求めることができる。
7 審査会の会議は、非公開とする。
8 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
9 委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
10 委員長の選任その他審査会の運営に関する事項は、委員会条例による。
11 前各項に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、委員長が審査会に諮って定める。
(審査会の審査)
第11条 審査会は、議長から審査を付託されたときは、政治倫理基準に違反する行為の有無について審査する。
2 前項の場合において、審査会は、審査を行うため、請求代表者、審査対象議員及び審査請求に係る関係者に対し、意見又は事情の聴取、資料の提出その他審査に必要な事項を議長を経由して要求することができる。
3 審査会の会議は、委員長が招集する。
4 審査会は、委員の3分の2以上の出席がなければ会議を開くことができない。
5 審査会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
2 議長は、審査対象議員が要求に協力しないとき、又は虚偽の発言若しくは報告をしたときは、その旨を第14条の規定による報告に併せて、公表するものとする。
(弁明の機会の付与)
第13条 審査対象議員は、審査会に対し、口頭又は書面により弁明する機会を与えるよう議長を経由して請求することができる。
2 審査会は、前項の規定による請求があったときは、審査対象議員に対し、弁明の機会を与えなければならない。
(審査結果の報告)
第14条 審査会は、審査を終了したときは、議長に対し、速やかにその審査の結果に意見を付して報告しなければならない。この場合において、政治倫理基準に違反する行為があると認めるときは、当該報告に次の各号のいずれかの措置を講ずるよう意見を付さなければならない。
(1) 文書による厳重注意
(2) 議会内での役職の辞任勧告
(3) 議員の辞職勧告
(4) その他必要と認める措置
(審査結果の通知)
第15条 議長は、前条の規定による報告を受けたときは、請求代表者及び審査対象議員に対し、速やかに審査の結果を通知しなければならない。
(審査の結果とるべき措置)
第16条 審査対象議員は、審査の結果、政治倫理基準に違反する行為があると認められたときは、その結果を尊重し、速やかに政治倫理の確保のために、自ら必要な措置を講じなければならない。
2 議会は、審査対象議員が前項の措置を自ら講じないときは、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、審査の結果を尊重し、議決により、必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第18条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、議長が規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。