○福知山市消防本部患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
令和5年11月1日
消防本部告示第1号
(趣旨)
第1条 この要綱は、福知山市内における民間による患者等の搬送事業者に対する指導及び認定に関し、必要な事項を定めるものとする。
(1) 患者等 要介護者、身体障害者、傷病者等をいう。
(2) 患者等搬送業務 患者等を搬送するために必要な構造又は設備を有する自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を搬送する業務をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送業務を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗務し、当該業務に従事する者をいう。
(指導)
第3条 消防長は、患者等搬送事業者に対し、別記の患者等搬送事業指導兼認定基準(以下「指導兼認定基準」という。)により必要な指導を行うものとする。
(講習)
第4条 消防長は、乗務員に対して、患者等搬送業務に必要な知識及び技能を習得させるため、次に掲げる講習を行うものとする。
(1) 乗務員適任証取得講習 患者等搬送業務に必要な知識及び技術を習得する講習で、別表第1に掲げるものをいう。
(2) 乗務員定期講習 患者等搬送業務に必要な知識及び技術の維持並びに向上を図るための講習で、別表第2に掲げるものをいう。
(講習の委託)
第5条 消防長は、前条の講習を他の機関に委託することができる。
(1) 乗務員適任証取得講習を修了したもの
2 適任証の有効期間は、交付の日の翌日から起算して2年とする。ただし、適任証の有効期間満了前に乗務員定期講習を受講したときは、有効期限を2年間延長し、それ以降も同様とする。
(適任証の再交付)
第7条 消防長は、適任証の交付を受けている者から適任証の亡失、滅失、汚損又は破損の申出があったときは、適任証(認定証等)再交付申請書(別記様式第5号)により申請させ、再交付することができる。
(認定事業者の認定)
第8条 消防長は、指導兼認定基準に適合している患者等搬送事業者を認定事業者として認定するものとする。この場合において、認定の対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次に掲げるいずれかの許可又は登録を受けている者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
2 消防長は、認定証、事業者認定マーク及び自動車認定マーク(以下「認定証等」という。)を交付したときは、認定事業者台帳(別記様式第17号)に登録するものとする。
(認定証等の掲示)
第12条 認定事業者は、事業者認定マークを患者等搬送業務を行う事業所に掲示するものとする。
2 認定事業者は、自動車認定マークを患者等搬送用自動車に掲示するものとする。この場合において、自動車認定マークは、自動車後面で運転手の視界を妨げない見やすい位置に貼付するものとする。
(認定の有効期限及び認定の更新)
第13条 認定証の有効期限は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
2 認定事業者は、認定証の有効期限の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、消防長に別記様式第6号により、認定の期間が満了する1か月前から満了する日までの間に更新の申請をしなければならない。
(認定証等の再交付)
第14条 消防長は、認定事業者から認定証等のいずれかの亡失、滅失、汚損又は破損の申出があったときは、(別記様式第5号)により申請させ、再交付することができる。
(事業の変更・休止等)
第15条 認定事業者は、次のいずれかに該当するときは、業務内容の変更・事業の休廃止届出書(別記様式第18号)により、遅滞なく消防長に届け出なければならない。
(1) 別記様式第6号の記載内容に変更が生じたとき。
(2) 患者等搬送事業を休止し、又は廃止したとき。
(認定の取消し)
第16条 消防長は、認定事業者が次のいずれかに該当するときは、認定事業者の認定を取り消すことができる。
(1) 指導兼認定基準に違反し、かつ、是正を指導しても改善しないとき。
(2) 患者等搬送業務の遂行に当たって、患者等に対して不利益を与えるなど認定を継続することが不適当と判断されるとき。
(3) 患者等搬送業務に関し、犯罪行為その他社会通念上認定事業者としてふさわしくない行為をしたとき。
(4) 故意又は重大な過失により、患者等搬送業務中に重大な事故を発生させたとき。
(5) その他認定を継続することが、不適当と判断されるとき。
(認定の失効)
第17条 認定事業者が次のいずれかに該当するときは、認定はその効力を失う。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定事業者の調査)
第19条 消防長は、毎年1回以上認定事業者に対して、指導兼認定基準の履行状況等を第10条の規定に準じて調査するものとする。この場合において、認定事業者は、調査に協力しなければならない。
(消防機関への報告)
第20条 認定事業者は、次のいずれかに該当するときは、その概要を遅滞なく消防長に連絡するとともに、特異事案・事故発生等報告書(別記様式第21号)により報告しなければならない。
(1) 患者等の容態が急変し、心肺蘇生を実施したとき。
(2) 患者等を搬送中に容態の変化があり、救急隊を要請し、又は当初予定していた以外の医療機関等に収容したとき。
(3) 患者等搬送業務中に重大な事故を発生させたとき。
(4) 感染症に罹患した者で、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)に定める感染症類型の疾患に該当する等、他の利用者に影響を及ぼす感染症患者を搬送したとき。
(5) 消防長から特に報告を求められたとき。
2 認定事業者は、年度ごとの患者等搬送業務の状況を患者等搬送状況報告書(別記様式第22号)により、次年度の4月10日までに消防長に報告するものとする。
(認定事業者の紹介)
第21条 消防長は、市民から患者等搬送事業者の照会があったときは、認定業者を紹介することができる。
附則
この告示は、令和5年11月1日から施行する。
別記(第3条関係)
患者等搬送事業指導兼認定基準
(事業実施の基本原則)
第1条 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚の上、本指導兼認定基準、関係法令等を遵守し、患者等搬送業務に当たらなければならない。
2 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めなければならない。
3 患者等搬送事業者は、生命に危険があり、又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は、搬送対象としてはならない。
(消防機関との連携)
第2条 患者等搬送事業者は、次のいずれかに該当する場合は、遅滞なく消防機関に119番通報しなければならない。この場合において、患者等の所在、状態、既往症及び掛かり付けの医療機関等の知り得た情報を併せて消防機関に通報するものとする。
(1) 患者等の搬送依頼時の依頼内容により、緊急に医療機関に搬送する必要があると判断した場合。この場合、併せて患者等から搬送依頼を受けた場所に乗務員を派遣するものとする。
(2) 患者等から搬送依頼を受けた場所に到着後、症状により緊急に医療機関に搬送する必要があると判断した場合
(3) 患者等の搬送途上において、患者等の症状が悪化し、緊急に医療機関に搬送する必要があると判断した場合
(応急手当の実施)
第3条 乗務員が行う患者等の搬送に当たっては、症状の悪化の防止に配慮するとともに、搬送中において症状が悪化し、緊急やむを得ないときは、消防機関と連携し、必要な応急手当を実施しなければならない。
(乗務員の要件)
第4条 乗務員は、満18歳以上の者で、適任証の交付を受けているものでなければならない。
(適任証の携行)
第5条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証を携帯しなければならない。
(運行体制)
第6条 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車1台につき2人以上の乗務員をもって業務を行わなければならない。ただし、退院等を目的として運行をする場合、医師若しくは看護師等が同乗する場合、又は車椅子のみでの搬送で乗降を容易にするための装置を備え、搬送中に容態急変の可能性がない場合は、乗務員を1人とすることができる。
(患者等搬送用自動車の要件)
第7条 患者等搬送用自動車及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)の構造及び設備は、次の各号に定めるところによる。
(1) 患者等搬送用自動車
ア 十分な緩衝装置、換気及び冷暖房の装置を有すること。
イ 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有すること。
ウ ストレッチャー及び車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
エ 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
(2) 患者等搬送用自動車(車椅子専用)
ア 十分な緩衝装置、換気及び冷暖房の装置を有すること。
イ 乗務員(車椅子専用)が業務を実施するために必要なスペースを有すること。
ウ 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造であること。
エ 車椅子の乗降を容易にするための装置を備えていること。
オ 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
(車両の外観)
第8条 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈してはならない。
(積載資器材)
第9条 患者等搬送用自動車には、別紙1に掲げる資器材を積載しなければならない。
(消毒の実施要領等)
第10条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、消毒実施要領(別紙2)に基づき次により実施しなければならない。
(1) 毎月1回以上の定期消毒
(2) 毎使用後に消毒
(3) 医師から消毒について特別な指示があった場合は、指示に基づいた消毒
2 定期消毒及び医師の指示に基づく消毒を実施したときは、消毒実施記録表(別紙3)に記録し、患者等搬送用自動車内の見やすい場所に表示しなければならない。
(衛生・安全管理)
第11条 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めなければならない。
2 患者等の搬送に当たっては、患者等及び同乗者に対して安全ベルトを装着させるなど搬送時の安全に努めなければならない。
3 乗務員は、身体の清潔保持に努めなければならない。
4 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔保持に努めなければならない。
(事業案内)
第12条 患者等搬送業務に係るパンフレットその他事業案内には、救急隊と同レベルの活動ができるかのような表現をしてはならない。
別紙1(患者等搬送事業指導基準第9条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
1 患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 枕 |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル 絆創膏 |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 ※ AED |
※印は、任意の積載とする。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | ※ バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | ※ 敷物 保温用毛布 担架 ※ 枕 |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル 絆創膏 |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ※ ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 ※ AED |
※印は、任意の積載とする。
別紙2(患者等搬送事業指導基準第10条関係)
消毒実施要領
特性 | 適応濃度・消毒要領 | 注意事項・保守管理 | |
消毒用エタノール | ・最初の数秒間で強力に殺菌 ・そのまま使用可能 ・毒性は低い | ・手指、皮膚及び資器材は、消毒液を浸み込ませた滅菌ガーゼ等で清拭する。 ・器具類は消毒液の中に10~30分浸漬する。 | ・希釈しないで使用する。 ・蒸気の吸引に注意する。 ・血液等が付着している場合は、十分洗い落としてから使用する。 ・直射日光を避け、密栓して保管する。 ・火気を避ける。 |
クレゾールせっけん液 | ・結核菌及び汚物等有機物の存在下でも有効 ・皮膚刺激及び強い臭気を有する。 | ・手指、皮膚の消毒0.5~1パーセント ・患者等搬送用自動車内、積載資器材0.5~1パーセント・排泄物等で汚染されたもの1.5パーセント ・手指、皮膚は消毒液に浸して洗う。 ・患者等搬送用自動車内及びストレッチャー等は、消毒液を浸み込ませた布片で清拭する。 | ・濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちに拭き取り石けん水と水でよく洗い流す。 ・ウイルスに対しては無効 ・塩化ベンザルコニウムとの併用は、双方の殺菌力が相殺されるので併用を避ける。 ・直射日光を避け、密栓して保管する。 |
塩化ベンザルコニウム | ・結核菌に対しては効果がなく、血液汚物等の存在下では著しく効果が減じる。 | ・手指、皮膚の消毒0.05~0.1パーセント ・患者等搬送用自動車内、積載資器材0.1パーセント ・手指、皮膚は消毒液に浸して洗う。 ・患者等搬送用自動車内及びストレッチャー等は、消毒液を浸み込ませた布片で清拭する。 | ・結核菌、吐物、尿便に対しては効果がなく使用しない。 ・クレゾール石けん液との併用は避ける。 ・血液等が付着している場合は、十分に洗い落としてから使用する。 ・遮光した密栓容器で保管する。 |
次亜塩素酸ナトリウム | ・塩素の悪臭がある。 ・ウイルスに有効であるが、結核菌に対しては効果がない。 | ・手指、皮膚の消毒0.01~0.05パーセント ・患者等搬送用自動車内、積載資器材0.02~0.05パーセント ・HBウイルスに汚染した場合1パーセント ・手指、皮膚は消毒液に浸し、その後流水と石けんで十分洗浄する。 ・患者等搬送用自動車内及びストレッチャー等は、消毒液を浸み込ませた布片で清拭する。 ・HBウイルスに汚染した器具類は、消毒液の中に10~30分間浸漬する。 | ・血液等が付着している場合は、十分に洗い落としてから使用する。 ・金属を腐食させるので器具等に使用する場合には注意する。 ・濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちに拭き取り、石けん又は水でよく洗い流す。 ・蒸気は呼吸器を刺激するので、吸入しないように注意する。 ・遮光し、密栓して25℃以下で保存する。 ・有効期限内に使用する。 |
備考
1 搬送用自動車内で、水漏れを避けなければならない場所は、消毒剤による清拭を行うものとする。
2 消毒実施時には、感染防止用手袋(使い捨て手袋)を着装すること。
別表第1(第4条関係)消防機関の行う講習
1 乗務員適任証取得講習[乗務員]
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 (一定頻度者が受講する講習と同等の内容を含む。) | 13 |
体位管理要領 | 2 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 |
搬送法 | 2 |
修了考査 | 2 |
合計 | 24 |
※ 課目の1時間は、45分とする。
2 乗務員適任証取得講習[乗務員(車椅子専用)]
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 (一定頻度者が受講する講習と同等の内容を含む。) | 9 |
体位管理要領 | 1 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 1 |
搬送法 | 1 |
修了考査 | 1 |
合計 | 16 |
※ 課目の1時間は、45分とする。
3 講師
上記に掲げる講習の講師は、次のいずれかに該当する者をもって充てるものとする。
(1) 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めたもの。
(2) 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めたもの。
(3) 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者で、消防長が適任と認めたもの。
4 乗務員の修了考査実施基準
修了考査は次の内容とし、80点以上をもって合格とする。
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急措置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 |
別表第2(第4条関係)乗務員定期講習
1 定期講習は、次の表に掲げるものとする。
課目 | 時間数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
※ 課目の1時間は、45分とする。
2 講師
適任者講習と同じ。
別表第3(第6条関係)
消防機関の行う乗務員適任証取得講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者は、次に掲げる者とする。
区分 | 分類 |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受講した者で、資格の有効期間にあるもの。ただし、別表第1に定める乗務員適任証取得講習に不足する課目については、消防機関の行う講習を受講すること。 |
3 | 前2項に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |