○福知山市における法令遵守の推進等に関する条例
平成20年3月27日
条例第20号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 福知山市法令遵守審査会(第6条・第7条)
第3章 公益目的通報(第8条―第11条)
第4章 不当要求行為等(第12条―第15条)
第5章 補則(第16条―第19条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市の行政組織及び職員の職務に係る法令遵守の推進及び倫理の保持のために必要な事項を定めるとともに、公平かつ公正な職務の遂行を確保するために必要な措置を講じることにより、公務に対する市民の信頼を確保し、市民の利益の保護に資することを目的とする。
(1) 職員 本市に勤務する地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職並びに同条第3項に規定する特別職の職員のうち、市長、副市長、教育長、上下水道事業管理者及び病院事業管理者並びにその勤務の形態が一般職の職員に準ずると認められるものをいう。
(2) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 職員
イ アの職にあった者で退職後1年以内のもの
ウ 市町村立学校職員給与負担法(昭和23年法律第135号)第1条に規定する職員及び京都府の会計年度任用職員(法第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員をいう。)であって福知山市立学校に勤務するもの
エ ウの職にある者及びその職にあった者で、過去1年以内に福知山市立学校に勤務していたもの
オ 本市の事務又は事業を委託し、又は請け負わせている事業者の役員並びにその従業員(派遣労働者を含む。以下同じ。)及び従業員であった者で退職後1年以内のもの
カ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により、本市が指定して公の施設の管理業務を行う事業者の役員並びにその従業員及び従業員であった者で退職後1年以内のもの
(3) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則(規程を含む。)及び訓令をいう。
(5) 公益目的通報 職員等が、市政運営上において、法令違反、人の生命、身体、財産若しくは生活環境に重大な損害を与える行為(不作為を含む。)その他の不当な行為が生じ、又はまさに生じようとしていると思料するときに、不正防止のために福知山市法令遵守審査会に対して行う内部通報をいう。ただし、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うものを除く。
(6) 不当要求行為等 次に掲げる行為をいう。
ア 暴力行為等社会常識を逸脱した手段により要求の実現を強要する行為
イ 威圧的な言動により不当な要求を強要する行為
ウ 正当な理由なく職員に面会を強要する行為
エ 正当な権利行使を装い、違法又は社会常識を逸脱した手段により、金銭又は権利を不当に要求する行為
オ 粗野又は乱暴な言動により職員に身の安全に不安を抱かせる行為
カ 職員以外の者が職員に対し、その職務に関し、特定の団体又は個人を他の者と比べて有利に取り扱う等特別の取扱いをすること(不作為を含む。)を求める働きかけをする行為
(倫理原則等)
第3条 職員は、市民全体の奉仕者であり、市民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について市民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等市民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
3 職員は、法令により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
4 職員は、職務の遂行に当たっては、法令を遵守するとともに、不当な要求に対しては毅然として対応しなければならない。また、市民に対しては、この条例の趣旨等について十分な説明を行うとともに、行政の透明化を図ることにより市政に対する理解と協力を得られるよう努めなければならない。
(市長等の責務)
第4条 市長及び他の任命権者(以下「市長等」という。)は、市民の信託に応え、法令遵守の推進及び倫理の保持が図られるよう、職員に対する研修を実施するとともに、適切な対応ができる組織体制の整備、公益目的通報(以下「通報」という。)をした者(以下「通報者」という。)の保護その他必要な措置を講じなければならない。
2 市長等は、不当要求行為等及び適正な市政運営を妨げる行為に対しては組織的に対応をしなければならない。
(市民等の責務)
第5条 市民は、地方公共団体を構成する一員として常に本市の行政運営に関心を払い、職員による公平かつ公正な職務の遂行について理解し、協力するよう努めるものとする。
2 何人も、職員に対して公平かつ公正な職務の遂行を妨げるおそれのある行為を要求してはならない。
第2章 福知山市法令遵守審査会
(福知山市法令遵守審査会の設置)
第6条 法令遵守の推進及び倫理の保持に関する調査及び審査(以下「調査等」という。)を行うため、福知山市法令遵守審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は、委員5人以内で組織する。
3 審査会の委員は、法令に関し専門的知識を有する者及び学識経験者の中から市長が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
6 市長は、委員に職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、解嘱することができる。
(審査会の職務)
第7条 審査会は、次の職務を所掌する。
(1) 第10条に規定する通報の受付、調査等に関する事項
(2) 第14条に規定する不当要求行為等の調査等に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、法令遵守の推進及び倫理の保持に関する事項
2 審査会は、前条第1項に規定する調査等のほか、この条例による制度の適正な運営に関する事項について、市長等に必要に応じて意見を述べることができる。
3 審査会の会議は、非公開とする。ただし、審査会が必要と認める場合には、公開することができる。
第3章 公益目的通報
(公益目的通報の通報先等)
第8条 職員等は、市長が規則で定める者(以下「通報受付者」という。)又は審査会に対し、通報をすることができる。
2 職員等は、通報をする場合は、誠実に行うものとし、この制度を濫用してはならない。
(公益目的通報者の保護)
第9条 何人も、通報者に対し、通報をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いもしてはならない。
2 通報者は、正当な通報をしたことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときには、審査会にその是正の申立てをすることができる。この場合において、通報者が通報以後に受けた不利益な取扱いは、特段の理由のない限り、当該通報をしたことを理由としてなされたものと推定する。
3 市長は、職員以外の者が通報をしたことを理由として、その役務の提供先の事業者から不利益な取扱いを受けたと認められるときは、当該不利益な取扱いについて是正を求めることができる。
4 市長等は、通報者を保護するため、通報者を特定させる事項の共有範囲を明確にし、その範囲外の者から通報者が特定されることのないよう必要な措置を講じなければならない。
(通報に係る審査会等の職務)
第10条 審査会は、規則で定めるところにより、委員に通報の受付を行わせることができる。
2 通報受付者は、通報を受けたときは、速やかに審査会に通知するものとする。
3 通報者は、通報受付者が正当な理由なく前項の通知をしない場合は、審査会に対し、当該通報に係る調査等を申し出ることができる。
5 審査会は、調査等の結果、当該通報どおりの事実があると認めるときは、是正措置等についての意見を付し、又は該当する事実がないと認めるとき若しくは調査等を尽くしても当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を、市長等に報告するものとする。
8 審査会は、調査等の結果を通報者に通知しなければならない。ただし、通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。
2 前項に規定する場合のほか、市長等は、通報者が通報をしたことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めたときは、遅滞なく改善又は防止のために必要な措置を講じるものとする。
3 市長等は、前2項の場合において、講ずべき措置の内容を決定したときは、その内容を審査会に報告しなければならない。
4 市長以外の任命権者が前項の報告をした場合には、当該報告後速やかにその内容を市長にも報告するものとする。
第4章 不当要求行為等
(不当要求行為等への組織的対応)
第12条 職員は、不当要求行為等があったときは、これを拒否するとともに、直属の上司に報告しなければならない。
(上司等の義務)
第13条 前条の報告を受けた上司は、不当要求行為等に対し組織的に対応し、市長等は、当該記録を審査会に提出しなければならない。ただし、明らかに不当要求行為等に該当しないと判断したもの又は緊急を要するものについては、提出しないことができる。
(不当要求行為等に係る審査会の職務)
第14条 審査会は、前条本文の規定により提出された記録について、速やかに必要な調査を行い、不当要求行為等に該当するかどうかを審査しなければならない。
2 審査会は、前項の規定による調査等の結果、不当要求行為等に該当すると認めるときは是正措置等についての意見を付し、又は該当しないと認めるときはその旨を、市長等に報告するものとする。
(不当要求行為等に対する措置)
第15条 市長等は、前条第2項の規定により不当要求行為等に該当するものがあるとの報告を受けたときは、速やかに当該報告に基づいて必要な事実確認を行い、当該不当要求行為等を行った者に対し警告する等必要な措置をとるものとする。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、当該不当要求行為等を行った者の氏名、警告の内容その他の事項について公表することができる。
第5章 補則
(職員等の協力)
第16条 職員等は、通報及び不当要求行為等の調査等のため審査会から求められたときには、協力をしなければならない。
(運用状況の公表)
第17条 市長は、毎年1回、通報及び不当要求行為等の件数並びにこれらの概要について公表するものとする。
(運用上の配慮)
第18条 この条例の運用に当たっては、関係者の人権が不当に侵害されないよう配慮されなければならない。
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において規則で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第3項の規定は、公布の日から施行する。
(平成20年6月規則第4号で、同20年6月26日から施行)
(適用区分)
2 この条例の規定は、施行日以後に行われる通報及び不当要求行為等について適用し、施行日前に行われた通報及び不当要求行為等については、適用しない。
(準備行為)
3 この条例の規定による職員の法令遵守の推進及び倫理の保持の体制の整備を図るために必要な準備行為は、施行日前においても行うことができる。
附則(平成24年12月21日条例第21号)
この条例は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月26日条例第35号)
(施行期日)
1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)附則第2条第1項の場合においては、この条例による改正後の福知山市における法令遵守の推進等に関する条例第2条第1号の規定は適用せず、この条例による改正前の福知山市における法令遵守の推進等に関する条例第2条第1号の規定は、なおその効力を有する。
附則(令和4年9月22日条例第9号)
この条例は、公布の日から施行する。