門前町 内宮

 元伊勢内宮 皇大神社の門前町として発達した内宮は、宇治橋を渡っていく参道の両側に家が立ち並び、そのほとんどが特有の屋号をもち多彩な職業のひろがりを示しています。

 これらの家は、専業の「旅籠屋」とともに旅客を応対するにふさわしい特有の間取りになっており、必要な時には参拝客を宿泊させる民宿的機能も以っていました。

 宮津藩時代には、福知山〜宮津を結ぶ往還の荷継ぎの中心として人夫徴用・賃馬における重要な役割も担いました。

 内宮の名物に小判型焼菓子がありました。これは小さく切った餅片を焼型に挟み、焼き上げるもので、二枚ずつ紙帯でくるんだもの七個で一銭(明治末年)でした。小判菓子売りは年中無休としていることから、当時は多くの参拝客で賑わった様子が伺えます。

 門前町として栄え様々な職業分布がみられる内宮ですが、その中でも異色の職業として「火口(ほくち)商い」があります。これは、火打ち石で打ち出した火を引火して大きな火にするための助燃材で、蒲の穂に硝石粉末を加えたものであります。材料は由良河口の油江・蒲江(現舞鶴市)から俵詰めで仕入れ、その商圏は大俣・物部へ広がっていました。

参考文献 『大江町誌通史編下巻』大江町1984

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宇治橋(横から)

元伊勢内宮皇大神社参道より内宮町並みを見る

宇治橋

内宮集落全景

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内宮の町並み