鬼ヶ茶屋

 鬼ヶ茶屋は大江山中腹の今普甲道(宮津街道)沿いに位置する茶屋です。江戸時代、この街道は、宮津藩主の参勤交代に用いられたほか、成相山へ向かう西国三十三所の略打ち巡礼道として多くの人々が行き交いました。
 鬼ヶ茶屋周辺には、酒呑童子伝説ゆかりの旧蹟が多く、旅行く巡礼者たちの格好の話題として各地に広められたことでしょう。
 当茶屋の主も観光資源として酒呑童子伝説をとらえていたようで、茶屋の襖には、源頼光が鬼退治の命を受けて都を出てから、酒呑童子を討つまでの説話が描かれています。また、弘化二年(1845年)には木版刷りで酒呑童子伝説を紹介する冊子を作成するとともに、その巻末には、「頼光こしかけ岩」「石に鬼のあしがた」「千丈がたき」など大江山の名所を掲載し、大江山の観光開発の先駆けともなりました。


参考文献 『大江町誌資料編』大江町1981
       『大江の文化財』大江町教育委員会1987

 

      大江山中腹に位置する鬼ヶ茶屋