元伊勢内宮 皇大神社と天岩戸神社

 ○元伊勢内宮 皇大神社
 「元伊勢」と呼ばれ広く信仰をあつめる皇大神社は、内宮集落の北方に鎮座します。正面に本殿(祭神 天照大神)、両側に脇宮二社が祀られ、境内の周囲に八十三社の小祠が並びます。鳥居は黒木で京都嵯峨野の野々宮神社以外には例がないといわれています。
 社伝によれば、崇神天皇のとき神鏡を奉じた豊鍬入姫命が四年間鎮祭した吉佐宮のあとに天照大神をまつったといいます。古くは元伊勢大神宮の名で知られ、近隣はもちろんのこと越前、摂津、播磨に及ぶ信仰圏をもちます。
 社殿の造営は式年六十一年目甲子の年にされてきましたたが、現在の本殿は、平成22年に改修をしたものです。外観は神明造りの形式をほぼ守ります。神楽殿は文政六年(1823年)の建立です。
 
 
社殿近景
 
神明造りの本殿
 ○天岩戸神社
 宮川左岸の岸壁にはりつくように天岩戸神社が鎮座します。祭神は天手力雄命と伝えますが、明治初年の神社明細帳には櫛岩窓戸命、豊岩窓戸命、大宮売命、八意思兼命とあります。
 本殿裏側には川をふさぐ形で巨岩があり、この上に神が座して天下ったといわれ、御座石といいます。本殿左手の川の中には神楽石があり、社務所から見下ろすあたりの岩には数個のくぼみがあり、ここは神が湯浴みをしたところと伝え、「産だらい」と呼ばれ、ふるくからここを濁すと大荒れになるといわれています。
 
 付近の山地一帯は府下でも有数の自然林であり、学術的にも価値のある常緑広葉樹林の原生樹林です。昭和59年(1984年)三月には「岩戸山京都府歴史的自然環境保全地域」として京都府の指定をうけています。


参考文献 『大江町誌通史編上巻』大江町1983
       『大江の文化財』大江町教育委員会1987
 
 
天岩戸神社
 
御座石