○鉱 床
鉱床は蛇紋岩の中の裂け目をうずめてできた鉱脈と輝緑岩岩体を鉱染した鉱染鉱床からなっている。
鉱脈は、古成層と蛇紋岩の接触部付近にもぐり込んだ斑れい岩岩体の周辺に発達しており、東西1,500m、南北700mの範囲が開発された。
斑れい岩岩体を挟んで北側に位置する鉱脈群を本鉱床、南側のものを向山鉱床という。
鉱脈の主要なものは二十数条あり、脈幅はところによっては1m内外に及ぶものもあったが、平均12cmの細脈であった。銅品位は良好で、8〜10%程度のものが多く、場所によっては15%前後のものを産した。
鉱染鉱床は、短径5〜15m、長径10〜60m、上下に50〜150mの輝緑岩岩体が部分的に鉱染されたものである。銅品位は0.5〜3.0%であったが、鉱山では1.2%前後以上のものを採掘の対象とした。
地質・鉱床 産出鉱物
河守鉱山の南には、粘板岩・珪岩・輝緑凝灰岩などからなる古生層(下見谷層)があり、これが鉱床の下部に張り出してきている。北側には鉱床の母体である蛇紋岩・橄欖岩があり、さらにその北側には花崗岩類がほぼ東西に広く分布している。
○産出鉱物
主として黄銅鉱・磁硫鉄鉱・クローム鉄鉱であるが、詳細は次のとおりである。
@鉱脈鉱石
黄銅鉱・磁硫鉄鉱・キューバ鉱・硫砒鉄鉱・鉄閃亜鉛鉱・方鉛鉱・含ニッケルマッキーノ鉱・含コバルトペントラン ド鉱・自然蒼鉛・輝水鉛鉱・黄鉄鉱・磁鉄鉱・銀鉱物・クローム鉄鉱
A鉱染鉱石
黄銅鉱・硫砒鉄鉱・含ニッケルマッキーノ鉱・鉄閃亜鉛鉱・チタン鉄鉱
B脈石鉱物
滑石(タルク)・石英・方解石・板温石・緑泥岩 その他粘土鉱物
*参考資料 1966 採鉱概況(日本鉱業株式会社 河守鉱業所)
1983 大江町誌通史編上巻(大江町)
河 守 鉱 山 鉱 床 断 面 図
河 守 鉱 山 付 近 地 質 図
(1966 「採鉱概況」日本鉱業株式会社 河守鉱業所より 一部加筆)
○クロム鉄鉱鉱床
鉱床は二つの鉱床に分かれ、カンラン岩、蛇紋岩の南縁部付近に産した。昭和8年に採掘を開始して、同17年には終了している。
(1966 「採鉱概況」日本鉱業株式会社 河守鉱業所)